会社役員賠償責任保険(D&O保険)
会社役員賠償責任保険、あるいはD&O保険(Directors & Officers Liability Insurance)などと呼ばれます。
役員が業務の遂行中に、損害賠償の請求を起された時、その被る損害費用をまかなう保険です。
1993年10月1日の商法改正に伴い、株主代表訴訟に関する訴訟手数料が一律8,200円と安くなり、株主代表訴訟の提起が容易になりました。
株主代表訴訟:株主が会社に代わって、取締役等の経営責任を追及する訴訟のこと。
そのため訴訟が増え、企業の訴訟にかかる費用負担が増えたため、その費用をまかなうために、この保険のニーズが急激に高まったという背景があります。
どんなものに保険金が支払われるか
- 法律上の損害賠償金
- 賠償責任に関する訴訟費用・弁護士費用(争訟費用)
など
損害例
- 新規事業への過大投資が本業の収益を圧迫し、業績が大幅に悪化したことにつき、投資決定の判断に重大な過失があったとして、株主から損害賠償請求を受けた。
- 従業員の不正取引により、会社が巨額な損失を被ったことにつき、取締役としての監視・監督義務を果たしていなかったとして、株主から損害賠償請求を受けた。
など
保険金支払いの例
- 保険期間中総てん補限度額 5億円
- 免責金額 1名あたり100万円、1請求あたりの上限500万円
- 縮小てん補割合 95%(損害額の95%をてん補します)
判決内容
取締役甲は会社に1億5千万円を支払え。 (その他に甲の弁護士費用として3千万円がかかっている)
会社役員賠償責任保険、保険金支払額および役員の自己負担額
保険支払額=(1億5,000万円+3,000万円-100万円)×95%=1億7,005万円
自己負担額=1億5,000万円+3,000万円- 1億7,005万円=995万円
保険金を支払えない主なケース
| 被保険者が私的な利益または便宜の供与を違法に受けたことに起因する損害賠償請求。 |
| 被保険者の犯罪行為(刑を科せられるべき違法な行為をいい、時効完成等によって刑を科せられなかった行為を含みます。)に起因する損害賠償請求。 |
| 法令に違反することを被保険者が認識しながら(認識していたと判断できる合理的な理由がある場合を含みます。)行った行為に起因する損害賠償請求。 |
| 被保険者が、公表されていない情報を違法に利用して、株式、社債等の売買等を行ったことに起因する損害賠償請求。 |
| 政治団体、公務員、取引先の会社役員・従業員等に対する違法な利益の供与に起因する損害賠償請求。 |
| 初年度契約の保険期間の開始日より前に行われた行為またはその行為に関連する他の行為に起因する一連の損害賠償請求。 |
| 初年度契約の保険期間の開始日より前に会社に対して提起されていた訴訟およびその中で申し立てられた事実またはその事実に関連する他の事実に起因する一連の損害賠償請求。 |
| 保険期間の開始日において、被保険者に対する請求がなされるおそれがあることを保険契約者またはいずれかの被保険者が知っていた場合(知っていたと判断できる合理的な理由がある場合を含みます。)に、その原因となる行為またはその行為に関連する他の行為に起因する一連の損害賠償請求。 |
| 地震、噴火、洪水、津波その他の天災または戦争、内乱その他の事変に起因する損害賠償請求。 |
| 環境汚染、核物質、石綿(アスベスト)に起因する損害賠償請求。 |
| 身体障害・財物損壊・人格権侵害に対する損害賠償請求。 |
| 他の被保険者、貴社、または大株主からなされた損害賠償請求または被保険者、貴社、貴社子会社または大株主が関与して他の者によってなされた損害賠償請求。 |
貴社、または被保険者が以下の米国法令(その修正条項を含みます。)に違反したと主張する申立てに基づく損害賠償請求。
|
など
契約者と被保険者
この保険の契約者と被保険者は以下の通りとなります。
| 契約者 | 会社 |
| 被保険者 | 会社の全ての役員(会社法上の取締役・執行役・監査役) |
- ※ 会社自身は保険の被保険者ではないので、会社自身に対する損害賠償請求は保険の対象とはなりません。
保険期間および遡及日
この保険では、遡及日以降に被保険者が行った会社役員としての業務に起因して、保険期間内に損害賠償請求が提起された場合に担保対象となります。
保険期間は1年間。遡及日は、
初年度契約の保険期間開始日。
見積もり
見積もりにあたっては保険会社所定の告知事項申告書および有価証券報告書などを提出しなければなりません。

